「根岸大輔の仕事」BLOG

「根岸大輔の仕事」Web Siteを開設いたしました。予備校講師としての教室でのお仕事だけでなく、映像講座の制作や書籍の執筆、模擬試験などの教材作成、講演会の演者などさまざまなお仕事をしております。

そんな根岸の仕事をより多くの方に知ってもらいたいと思い、本Web Siteを作った次第でございます。

末永く御贔屓を賜りますようお願い申し上げます。

根岸大輔

学習方略の原則029:ギャンブラーの誤謬

皆さんは「ギャンブラーの誤謬」という言葉を聞いたことがありますか?

「誤謬」とは、間違い・誤りのことです。

では、ギャンブルする人はどんな間違い・誤りを犯すのでしょうか?

ギャンブルで負けると悔しくなり、次こそは! と思ってしまい、結果としてどんどん失敗を重ねその思いが強くなってしまうという誤りです。次勝てるかどうかなんて分からないのに、です。

勉強でも同じことが言えます。

成績が悪かったら当然次こそ良い成績を取ろうと思ってしまいます。そう思うことはいいのですが、それにしっかりと学習行動が伴うかどうかが重要になっていきます。

つまり、勉強はたんたんと計画的に進めていくことが大切ということです。勉強は何をすれば良いかが比較的明確なので、それに対して学習行動が伴っていればいいのです。

とはいっても、やはり勉強も実質ギャンブルと似たような部分もあります。投資に対するリターンがあるかどうかが分からないところです。つまり、努力が報われない場合がふつうにあるということです。しかし、そうだからといって努力をしないは間違っていますが……悩ましいところです。それでも勉強しないという選択肢はありません。

これはよく言われていることなのですが、

努力は報われるとは限らないが、成功者はみな努力している

という名言があります。

報われるためには、絶対にやり続ける努力が必要ということなのです。

ここで、学習方略の原則029:ギャンブラーの誤謬の話は終わりです。次回をお楽しみに!

学習方略の原則028:蓋然性

皆さんは蓋然性という言葉を聞いたことがありますか??

蓋然性とは、確からしさ。数学の「確率」ではなく、日常会話レベルでの「確率」のことをさします。

例えばテストの結果の例でいうと、テストで上手くいってよい成績をとることがどれくらいぼ確率で起こるか、ということを指します。

テストというものは上手くいくときもいかないときがあり、運の要素(たまたま知っているものがでたり、授業で扱ったものがでたり)が存在してしまうものです。

つまり、テストというものはその時の自分の実力を表すよりも、うまく実力を発揮できるかどうかの運の要素があるということを忘れてはいけないということです。それは受験本番でも同じ。

過去の私の生徒のエピソードをお話ししましょう。

ある年、理系科目はばっちりなのに国語だけが苦手でできないという子がいました。正直あまりにも国語の成績がひどいので、志望校合格はちょっと厳しいのではないかと思っていました。

しかし、その子は本当に真面目で、国語ができないなりに復習にしっかり取り組み、めちゃくちゃ努力をしていました。

そして試験当日。なんと入試でたまたま授業で取り扱った文章がそのまま出題されるというラッキーが起こりました。試験中にこぶしを握り締めたそうです(笑)。

その生徒さんは見事合格を掴むことができました。もし見たことない文書が出題されていた場合、その生徒さんが合格できていたかと問われると、YESとは言い切れません。運の要素が合格へと導いたと言えるでしょう。

もちろん、逆の場合もあります。運が悪くて全く知らないものが出題され全く意味がわからないということも当然ありえます。

これも過去の私の生徒のエピソードです。

最難関校を目指している数学が得意な子がいました。実力的には普通にやれば合格は間違いないだろうという生徒です。

ところが、入試本番で突如頭が真っ白になってしまったのです。得意教科であるだけに、数学で高得点を狙い周りと差をつけなければいう大きなプレッシャーがあったと本人は振り返っていました。

このように、運によって結果が左右されないように努力すればいいのではと考える方もいると思いますが、それは非常に難しいです。

ですから、どうしても自分ではコントロールできない運の要素が存在してしまうことを頭に入れておく必要があります。つまり、その運の要素によって合否がきまってしまうという残酷な現実があるということです。

もちろんなるべく、その運に影響されないように勉強し、もっと上のレベルになれればいいのですが、なかなかそうはいかないということは覚えておいて欲しいと思って、こんなエントリを書きました。

ここで、学習方略の原則028:蓋然性のお話を終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則027:ヒューリスティックな判断

皆さんは、ヒューリスティック(heuristic)という言葉を知っていますか??

ヒューリスティックとは、試行錯誤しながら経験と発明を積み重ねることによって、問題を解いていく方法です。

分かりやすく言うと、学習者自身の経験(勉強していく)の中で役に立つ勉強方法を見つけていくということです。

学習を進めていく方法は、人に言われてやる方法自分で試行錯誤して考えてやる方法の2種類があります。どちらにもメリット、デメリットが存在するのです。

人に言われたやり方で取り組む方法のメリットは、すぐに取りかかれるということです。

デメリットは、その勉強方法が自分に合っているかどうかが分からないということです。

また、自分で試行錯誤して考える取り組みのメリットはその勉強方法が自分のものになることです。デメリットはものすごく時間がかかってしまうことです。

よく「自分に合った勉強方法が見つからない」と言い訳をする生徒さんがいらっしゃいます。

しかし、それは間違った考え方です。とりあえずやってみるところから始めなければならないのです。まずはやってみて、それでうまくいかないのであれば先生に相談しにいけばよいのです。

先生に言われた勉強方法が自分と合っていなかったとしても、「あの先生はもうダメだ、使えない」と勝手に判断するのではなく、「とりあえずこんな状況でこんなふうにやったけれどできなかった」とまた相談しにいけばよいのです! 先生たちは生徒の状況を正確に把握することができればより良いアドバイスをすることができるものです。

つまり、まずはやってみた上で失敗を繰り返し、どうするかを考えること(試行錯誤する)が大切になるということです。

また、受験勉強というものは、そんな簡単に右肩上がりには進みません。成績にも波があります。そんなときに上手くいかないからと心が折れてしまうのではなく、踏ん張ってなんとか試行錯誤しながら勉強をし続けられるかどうかということが成功の鍵になります。

皆さんも、1回やってみてダメだからと諦めるのではなく、試行錯誤をして勉強をし続けられるように頑張りましょう。

ここで、学習方略の原則027:ヒューリスティックな判断のお話は終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則026:自分が持っている先入観

自分が持っている先入観のせいで的確な勉強方法が取れていない可能性があります。

では、その先入観をとるにはどうすればいいのでしょうか?

答えはきわめてシンプルです。

プロの先生やチューターさんに相談しに行くのがいちばん!

各教科の先生というのは担当科目の勉強方法を豊かに持っています。また、教科に限らない勉強方法についても相談してみることをおススメします。

また、相談する上で信頼できる先生やチューターさんを見つけることも非常に重要です!

相談する相手は誰でもいいというわけではないですよね。

1つのアドバイスでは不安だからといっていろんな人に聞くよりも、より深く自分が思っていることを全て話せる人に相談した方がよいアドバイスを得られる可能性は高いでしょう。

そしてその相談の中で自分の先入観というものが見えてきて改善につながります。自分では気づかない思い込みが、信頼できる人と話すことで見えてくるのです。

要するに、講師室に行ってください! チューターの部屋へ行ってください! ハードルが高いと感じられるのであれば、それを乗り越えられるように頑張ってください!

ここで、学習方略の原則026:自分が持っている先入観のお話を終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則025:過度な成功の追求

学習において過度な成功の追求というものは挫折しかもたらしません。

過度に成功を追求するとかえって失敗をもたらし、失敗を恐れてしまう原因ににもなります。

また、失敗から学べなくなってしまいます。

その結果「負のスパイラル」に陥る可能性が高まってしまうのです。

このように、あまりにも高すぎる目標というのはリスクが大きいのです。

ですから、自分にとって高すぎる目標を成し遂げようとすることが適切かどうかを考えることも大切です。たとえばはじめから「2年計画」にする現役生もいます。そうすれば高い目標に届くかもしれません(根岸はあまりお勧めしませんが)。

しかし、これは合格可能性の低い学校を受験してはいけないということを言っているわけではありません。第一志望校であればどんなに合格可能性が低くても受験するべきです。そのうえで合格可能性の高い学校も組み合わせて受験することをお勧めします。進学するかどうかは合格してから考えればいいことです。

以前私の持っていた生徒さんで、高3の途中まで部活があり、国立の最難関大学を1年半計画で合格した生徒さんがいらっしゃいました(本人が最初から公言していました)。それは残りの数ヶ月では目標を達成できないだろうという的確な自己評価ができていたからこそ、思いきった計画を立てることができたのです。

1年で高い目標への到達を成し遂げようとすることに否定するわけではありません。一方で受験勉強において高い目標を立てる場合には、最初から期間を延ばすという方法もあるのだということを忘れないでくださいね!

……繰り返しになりますが、根岸はあまりお勧めしません。

ここで学習方略の原則025:過度な成功の追求のお話は終わりです。次回をお楽しみに!

学習方略の原則024:マイルストーンの設定

4月から本格的に受験勉強をスタートした受験生は多いでしょう。受験が2月だとすれば10カ月もあります。長い期間ですから、たんたんと学習を進めているだけでは最終目標(受験での合格)に到達することはなかなか難しいものです。中だるみは誰しも経験したことがあるでしょう。

ではどうしたら中だるみせず学習を進められるのでしょうか?

それはマイルストーン、つまり中間目標を立てればよいのです!

マイルストーンは日本語では里程標と訳されます。どのくらいの距離進んだのか、目的地まであとどのくらいなのかを示す標識です。自動車で高速道路を走っているときに、道路脇に数字が書いてある標識が立っているのを見たことがあるのではないでしょうか。アレです。

一般企業では、中間目標という意味でマイルストーンという意味を使います。この使い方は受験勉強にも応用できますね。

受験生の最終目標はもちろん大学入試での合格です。スタート地点からの10カ月の間で、「6月までにこうなる、夏期講習までにこうなる」などのように到達段階ごとに目標を設けることが大切です。

例えば、予備校によっては数ヶ月に1回先生と面談が行われるところがあります。そういう機会を有効に活用し、目標の確認をしましょう!

小さな目標をコツコツとクリアしていくことで気がついたら自分の目標に近づいている……というのが理想ですが、仮に設定したマイルストーンが達成されていなくても大丈夫です。

次のマイルストーンの目標を変更し、最終的にゴールにたどりつけるスケジュールを組みなおせばよいのです。

どのようにスケジュールを組みなおせばよいのかは、信頼できる先生や予備校のチューターさんと協力して作っていきましょう!

そこで、大切になるのは、バックキャスティングという目標の立て方です!

目標の立て方にはフォアキャスティングとバックキャスティングの2つの方法があります。

まず、フォアキャスティングとは、現状はこういう感じ、次はここ、ここの次はここ……というふうに、今いる地点からスタートして将来の目標を見通す方法です。

バックキャスティングとは、先にゴールを設定し、その前に何ができていないとだめなのかということを逆算して考えることです。

例えば、自分の趣味など期限がないものであればフォアキャスティングのほうがよいでしょう。

しかし、受験のようにゴールが決まっているときはバックキャスティングで逆算して考えなければ絶対に間に合わなくなります。

例えば、2月がゴールならばセンターまでにここ、冬期講習までにこういう状況、10月にここまで到達、8月までにこの範囲を仕上げる……いうように2カ月ごとにマイルストーンを設定します。そしてそれならば今何から手をつければよいかを考えることが大切なのです!

皆さんもぜひ、小さな目標を立ててコツコツと勉強を進めていきましょう!

ここで学習方略の原則024:マイルストーンの設定のお話は終わりです。次回をお楽しみに!

学習方略の原則023:帰属の再訓練

勉強していく中で、失敗したり、行き詰まったりすることはよくあると思います。

そんなときは、自分の努力の質と量を再検討しましょう。

ついついテストの成績が悪いときや、勉強しても手応えを感じないときは行動に目を向けてしまいますよね…結果が出なければ、もっと勉強量を増やそうと考えてしまいがちです。

しかし、実際には逆のケースで量を絞ったほうが効果的な勉強ができることがあります。

例えば、英単語を200個ずつ暗記する予定だったが、全てを暗記することができず中途半端になってしまった……のような経験は多くの人がしているのではないでしょうか。

そんなときは暗記する量を100個に減らし完璧を目指したそうがよいですよね!

また、質の部分でも、2時間ダラダラと勉強しているより、30分しっかり集中して取り組んだほうがよい結果につながります。

つまり、失敗したらもっと勉強しようと量を増やすことは逆効果になる可能性が高いといことです。

また、勉強に行き詰まって集中できないときは外に散歩したりすることも大切です。外に出れば気持ちが回復してきます!

(根岸は積極的に散歩します。けっしてサボりではありません……)

また、人は自分の失敗の原因を自分の思い込みから判断し、自分の能力に求めがちです。それを自分の行動の方に位置付けられるかがポイントになります。その方向に持っていけば、改善の余地もあり、自分の失敗の原因をより適切に改善できるものに変えることができます。

「行動を変えよう」と何度もこのブログで述べてきましたが、それは行動を変えることがいかに大切であるかということの裏返しになっています。

成績が伸びないときは、自分の行動に目を向けましょう! 行動を変えられれば内面を改善することができます。

ここで、学習方略の原則023:帰属の再訓練のお話は終わりです。次回をお楽しみに!

学習方略の原則022:性格論的・行動論的自己評価

人間は、「性格論的自己評価」・「行動論的自己評価」の2つの方法で自己を評価しています。

自分の状況を評価する際、自分の内面について評価することを「性格論的自己評価」、自分の外面について評価することを「行動論的自己評価」と言います。

一般的に人間は自分の内面を自分の本質だと考えるので、自分自身について性格論的自己評価をしがちです。

一方、行動論的自己評価は人が見えるところ、自分が他人からどう見られているかということとつながっています。

いずれも自己評価ですが、視点が大きく違うのですね。

勉強においては、勉強をするときにどのような行動をとったかを評価すること、つまり行動論的自己評価をおすすめします。

例えば数学の場合で考えてみましょう。「三角関数が理解できていなかった」という自己評価だけでは、学習行動の変化にはなかなかつながりません。

「途中で計算ミスをした」「公式を覚えておらず導出もできなかった」などの外面に表れる行動のほうが修正しやすいですよね。こういった行動を修正できると、結果的に内面の問題も解決されていきます。

また、読解科目、特に現代文であっても、ただ単に文章が読めない(つまり読解力がない)という性格論的自己評価をして自分の内面の問題にするのでは、いつまでたっても読めるようになりません。

わからないことに対して自分がどのように行動できたか、つまり行動論的自己評価が出てくれば改善することができます。

今まで線を引いて読んでいなかった、選択肢を切るときにこの部分に着目できていなかったなど、具体的に自分が学習行動として外に出したものを評価して初めて自分の内面が変わる可能性が出てくるのです。

勉強するときには、ぜひ「行動論的自己評価」のほうを重視してみましょう!

ここで学習方略の原則022:性格論的・行動論的自己評価のお話を終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則021:セルフハンディキャッピング

セルフハンディキャッピングとは、テスト前に急に部屋の掃除を始める、試験範囲ではないところの学習をする、落書きをするなど関係のないことをしてしまうことです。

誰しもが経験したことがあるはずです。

例えば、テスト前にできていなかった勉強をテストが終わったあとにやりたくなり、「なんでテスト前にしっかりできなかったんだろうか? しっかりやっておけば良かったのに!」と後悔したことはないでしょうか?

たしかに勉強しなかったことを後悔しているのですが、実は単純にそうとも言えないところがあります。

「テストの成績が悪かったらどうしよう……」

こういう不安が、事前に言い訳できそうなことをさせてしまうのです。

そしてそれは、無意識の部分にある自分の弱いところの表れなのです。

言い訳をつけるために自分で自分にハンディキャップを与え、結果が悪かった時に備える、無意識の自己防衛と言えます。

これはもちろん無意識にやっていることなので、コントロールしにくいものです。でもだからこそ、やらなければならない勉強から逃げるのではなく、立ち向かう努力が必要になるのです。逃げない勇気を持ちましょう!

ここで学習方略の原則021:セルフハンディキャッピングのお話は終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則020:認知的不協和

認知的不協和とは、自分の中と現実の間に矛盾を抱えている状態のことを指します。

例えば、テストで成績が悪かった場合、「これは本当の自分の実力ではない。たまたま問題が悪かっただけだ」とか、「体調が悪かっただけだ」などのように、自分がコントロールできない環境の部分に言い訳をもってくることです。

ではなぜ環境に原因をもっていくのか。

それはある意味人間の醜い部分と言えるかもしれません。

「自分はこれくらいは簡単にできるはずなのだ」というプライドを持っているからです。

また、このプライドの奥にはこんな思いが存在します。

「本当はこの問題ができないのではないか? テストを受けるのが怖い、結果が出なかったらどうしよう!」

こういった心の根っこにある恐怖・不安からくる自信のなさです。

しかし、言い訳ばかりをしていても仕方がありません。それに立ち向かわなければどうしようもありません。

勉強は合理的にやるべきだと根岸は考えています。ですから「頑張れ、根性を出せ、気合いだ」などの精神論的な考えをあまり勧めていません。しかし……

弱い気持ちに打ち勝つためには精神論も大切です!

受験勉強を通じて精神力を身につけ、弱い自分に立ち向かうことができる自分に成長してほしい。根岸はそう願っています。

これは勉強に限った話ではありません。日々の生活の中でも自信のないことに取り組まねばならない場面はあるでしょう。そういう時に立ち向かえる強い精神を、受験勉強が育んでくれます。

言い訳ばかりをするのではなく弱い自分に立ち向かえるよう心掛けてみましょう。

ここで学習方略の原則020:認知的不協和のお話は終わりです。次回をお楽しみに!