学習方略の原則019:自分の「常識」

自分にとっての「常識」と思える学習法でも、それに確たる証拠があるのか再検討することは非常に重要です!

それが、自分の実力の上昇を阻んでいる場合があります。

分かりやすい例として英単語を挙げてみます。英単語はどうしても英語を学習するうえで暗記しなければしょうがないですよね。

皆さんはどのように英単語を暗記していますか?

見て覚える、口に出して唱える、何度も書く、ラインマーカーを引く、チェックシートで隠して確認する……

当然ながら、暗記の仕方はいろいろあって正解というのはありません。

もし、正解が存在するならば全員がその方法で暗記するはずです。

つまり、勉強方法に正解はなく、いろいろあるやり方の中で自分のやりやすい方法を見つけていくことが大事だということです。

しかし、それがなかなか難しいことなのです。

なぜなら自分の中で「常識」だと思っている勉強方法が存在しているからです

自分ではこの方法が正しいと思っていても本当にその方法が自分に合っているのか、その方法が正しいという実感を持てているのかは考え直すべきです。

また、その当たり前だと思っていることを、本当にそれで良いかどうかを指導者や信頼できる人に聞いてみるのも良いでしょう。

いろいろな切り口から書かれた「学習方略の原則」についての記事や、根岸Twitterのタグ #学習方略の原則 も参考にしてみてくださいね!

ここで学習方略の原則019:自分の「常識」のお話は終わりです。次回をお楽しみに!

学習方略の原則018:実力が伸びない人の自己の見方

実力が伸びない人は悪い成績をどう捉えているのでしょうか?

実力が伸びない人は次の3つの見方をしている可能性が大きいです。

1つ目は自己防衛的な見方です。自己防衛的な見方とは、簡単に言うと自分のせいにせず周囲のせいにすることです。

例えば、テストで実力が発揮できなかった場合、部屋が暑かった・寒かった、隣の人の鉛筆の音がうるさくて集中できなかったなどの環境のせいにすることです。

環境のせいにする人は多いですが、環境は自分ではコントロールできないものです。普段の勉強の学習環境の整備は非常に大切です。

しかし、テストのときの環境は周囲の受験生と同条件であるので言い訳にはなりません!

2つ目は持続的フレームです。持続的フレームとは今後も同じ結果になると考えることです。

学習方略の原則008でもお話した通り、テストの成績というのは上下するので、前回と同じ結果にはなりません。成績が悪かった場合、次は上がると信じて学習を進めていた方が、気持ちの面でも楽になります。普通に学習を進めていれば、今後も同じ結果になる確率のほうが実際には少ないです(2回連続でコケることがないわけではありませんが……)。

つまり、これからずっと成績が上がらない、変化しないということは絶対にありえません!

3つ目は悲観的評価です。悲観的評価とは自分の実力は所詮この程度だと決めつけ悲観的に自分を評価することです。

1回のテストの結果というのは、本当の実力ではありません。悲観的にとらえるのはやめましょう。学習方略の原則007でもお話した通り、まぐれで当たった問題を引き、できたはずの問題をプラスし、実力に近い振り返りをすることを心掛けましょう。

実力をつけたいのであればこの3つの見方をやめましょう。悲観的なバイアスを楽観的なバイアス(前向きなものの見方)に変える必要があります。

そのためにはどうすれば良いのか?

簡単に言えば、ここまで見てきた考え方をひっくり返せば良いのです!

例えば、環境のせいであるならば、それをコントロールすることはできません。一方自分のせいにすればそれをコントロールすることができます。つまりコントロールできないものに原因を求めてはいけないということです。

同じようなことを元メジャーリーガーの松井秀喜さんもおっしゃっていました。成績が悪いときには自分の直せるところは直す。周りから言われることはコントロールできないものだから気にしない、と。

これは、強い精神がないとできないことですよね!

皆さんもこのような考えができるような強い精神を持ち自分をごまかさず正直に評価できるように努力してみましょう!

学習方略の原則018:実力が伸びない人の自己の見方のお話はここで終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則017:バイアス

バイアスという言葉を知っていますか? 「先入観」や「偏見」のことを指す言葉です。

私たちは世界を客観的に見ることが難しく、どうしても自分のバイアスがかかった偏ったものの見方をしてしまいます。

バイアスをかけて見てしまうことは仕方がないのですが、そのバイアスが自分にとって都合の良いように物事を考えるきっかけとなってしまっています。

学習の場合も同様に、学習の自己評価にバイアスをかけてしまうことが多いものです。

では、学習の自己評価にかかりがちなバイアスとはどんなものがあるのでしょうか?

それには、自己高揚バイアス自己防衛バイアスの2種類があります。

1つ目の自己高揚バイアスとは、成績があがると自分をおだてるような原因の帰属を行うことです。

例えば、この1週間自分が頑張ったから成績が上がったのだ! などですね。

そして、2つ目の自己防衛バイアスとは成績が下がると自分を守るような原因の帰属を行うことです。

例えば、試験中に隣の人の鉛筆の音がうるさくて集中できなかった……などがそれです。

このような自分の都合のいいように世界を見るバイアスを一般的に認知バイアスまた確証バイアスと呼びます。バイアスを通して世界を見てしまうことは、前にも述べましたが仕方のないことです。

しかし、そのバイアスをかけて見てしまっているという自覚が大事なのです。さらに、自分の状況を、客観的にみること(これをメタ認知と言います)ができれば、比較的そのバイアスから解放されやすくなり、飛躍的に勉強ができるようになります。

皆さんも是非、バイアスがかかっているということを自覚し、自己を客観的にみることができるように頑張ってみてくださいね!

学習方略の原則016:質問の仕方

こんにちは。大学受験現代文・小論文・AO推薦入試対策指導、根岸です。

学習が上手くいかないときはぜひ指導者に相談しましょう。

指導者にする相談は大きくわけると2つあります。

1つは学習内容に対する質問です。具体的に授業のこの問題が分からない……など。この質問には指導者も答えやすいです。

2つ目は、学習方法に関する相談です。

先生たちもプロなのでこういうときはこのように答えればよいと分かっているのですが、

実はこの相談、非常にアドバイスがしにくいケースが多いのです。

それはなぜか?

それは、相談に来た生徒の状態がよく分からないからです。

例えばこんな相談がよくあります。

「先生、相談があるんです! 私、文章が読めないんです!」

これだけでは、何をもって文章を読めないと感じているのか? 読むのが遅くて読み終わらないのか? 内容がつかめないのか、もしかしたら問題が解けないのではないか……

あまりにも漠然としすぎて、よく分からないのですよ……。

では、学習方法についてどのように相談すればよいのでしょうか?

これ、実はとても簡単です。

具体的な教材や参考書を持っていけばいいのです!

例えば、この文章は読むのに時間がかかる、読むのに苦労したという具体的な問題を持って質問しにいけばよいのです。

先生たちは問題を見れば、その生徒の状況をつかみやすくなります。そしておそらくこうではないかという予想を立てることができます。こうすることでよりよいアドバイスを提供できるのです。

学習方法についての質問をするときには、答えようがない漠然とした質問をそのまま先生にぶつけるのではなく、具体的な問題を持っていきましょう。

ここで、学習方略の原則016:質問の仕方についてのお話を終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則015:スキーマを強くするための学習方法

こんにちは。大学受験現代文・小論文・AO推薦入試対策指導、根岸です。

今回は前回の学習方法の原則014の続きです。スキーマを強くするための方法についてお話します。

どのようにすれば勉強後にスキーマが増強されるのでしょうか?

それは、できなかった問題ができるようになったときに

「ふりかえり」を実施すればよいのです!

学習は自分の変化をどれだけ実感できるかが重要です。

実感できたときに、何を理解できていなかったのか?・何が原因でできるようになったのかを考えるふりかえりを実施することが大切になります。

これは以前のblogでもお話ししましたね。

具体的に「ふりかえり」のやり方を紹介します。ふりかえりには三つの段階があります。

① 何をできていなかったのか、何ができるようになったかを明確にする

まずは自分の変化を把握しましょう。以前の自分と今の自分を比べます。

② 何が原因でできるようになったのかを考える。

原因は一つではなく複合的なものではありますが、変化の原因を自分の学習の手応えや実感のなかで明確にしましょう。

例えば、読解科目において

① 大きな論理の展開がスムーズにつかめるようになった

という場合に、

② 今までは線を引いたり書き込みをしたりせずに読んでいたけれど、線を引いたら・書き込みしたら理解できるようになった

など、何かしらの自分の変化の原因を考えることが大切です。

③ 次回への教訓を引き出す

②で変化の原因がわかれば、次に同じような局面に出会ったときに同じことをすればいいとわかります。その教訓を記録しておきましょう。メモでもいいですし、学習アプリでもかまいません。

ぜひ、皆さんもやったらやりっぱなし、できただけで満足することなく、「ふりかえり」を実践してみましょう。

ここで今回の学習方略の原則015:スキーマを強くするための方法についてのお話は終わります。 次回をお楽しみに!

学習方略の原則014:スキーマをより広く、強く組み立てるには

こんにちは。大学受験現代文・小論文・AO推薦入試対策指導、根岸です。

前回の学習方略の原則013では、スキーマについて紹介しました。今回は、スキーマをより広く、強く組み立てていくには、どのようにすればよいかということをお話しします!

まとまった知識を広げ、強くしていくには、

知識の増強、技能の活用(読解科目・数学・理科が中心)が必要です。

また、関連情報をまとめて覚え、複数情報をつなげる意図を持って学習に取り組むことが必要になります!

知識は単独では存在するものではなく、それ以外の知識と密接に関係しています。

例えば社会科で年号を覚えるとすると、その年号の数字だけを覚えても仕方がありませんよね。その年に起きた出来事と関連付けて覚えなければならないのです。こんな当たり前のことですが、じつはこれがとても重要なのです。年号の関連付けを例にお話ししましょう。

たとえば年号と年号の関係を考えてみてください。この事件の後にあのできごとがあった、この年号の何年後にあのできごとがあった……というように、年号を基軸にその他のできごとの関係をつかむことができます。

のように年号といういかにも丸暗記のようなことでも、さまざまなことがらのつながり、関連性を覚えることができるのです!

また、覚えるときには一つの事柄にできるだけ多くの情報を関連付けて取り入れることができるかが重要です

学習の中でできる限り意図的に複数の情報を関連付けることが大切なのです!

例えば、授業ノートの取り方の話で考えてみましょう。

あなたは「人間コピー機」になっていませんか? 

ただ単に板書を写すのはやめて、板書を写しながら「ここの部分は先生が授業で話していたあの部分と関連している」「前の授業のあの事項とつながっているな」など、

まとまりを考えるだけでも学習効果が全く違ってきます!

皆さんも学習に役立つスキーマの増強を意識して勉強に取り組んでみましょう。

ここで今回のスキーマを、広く強く組み立てるには? のお話を終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則013:スキーマ

こんにちは。大学受験現代文・小論文・AO推薦入試対策指導、根岸です。

みなさん、スキーマという言葉をご存知ですか?

スキーマとは複雑で一般的な概念に関する知識構造のことです

これだけでは、よく分からないと思うので分かりやすく説明します。

私たちが何かを理解したり、何かをできるようになるのはなぜか?

例えば、社会科の学習で知識を覚える、何かを理解するとはどういうことかを考えてみてください。

世界史で冷戦期の世界構造について学ぼうとしたときに、ゴルバチョフ、雪解けなどの1つの用語を覚えても意味がないですよね。どのようにすれば理解したと言えるのでしょうか?

1つの事柄を理解するには、たくさんのことを覚えなければなりません。その暗記したことがいろんな形でつながり、関係性をひと通り説明ができるようになって初めて理解したと言えます。

また、知識がある程度のまとまりになり、あるテーマについてある一定の知識群(スキーマ)がある場合、それらを通し、問題を解いたり、答えを出せるという状態が作れるようになるのです。

当然、スキーマ化できていないただの暗記レベルでは、答えをすぐに出すことはできません。

そして、スキーマに合致した情報を素早く処理し、合致した情報の記憶を推進させることもできます。

では、どう勉強を進めればよいのか?

実はなんと、これがスキーマという言葉のイメージからは程遠いところにあるのです。

スキーマがない状態(ある分野の知識がない状態)から、

理屈抜きで代表的なものを覚え暗記すればよいのです。

そんなバカな……と思われるかもしれませんね。しかしスキーマの基点となる知識がなければ、知識群ができるわけがありません。そこでまずは理屈抜きの暗記なのです。

そうすれば、スキーマの基礎ができ、そのできた基礎の枠組みの中に知識が入りやすくなります。

最初に暗記するのは大変かもしれませんが、ある程度覚えられれば、知識が入りやすくなっていきます。

ぜひ、新しい分野やジャンルの勉強するときには最低限の基本をできるだけ早く覚えスキーマを作ることを心掛けましょう!!

今回の学習方略の原則013:スキーマのお話を終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則012:成功者の真似について

こんにちは。大学受験現代文・小論文・AO推薦入試対策指導、根岸です。

皆さんは、成功者(例えば第1志望校に合格した先輩や自分の志望校に合格した先輩)から勉強のやり方などのお話を聞いて真似をしようとしたことはありませんか?

これには、自分が経験をせずに成功した先輩の勉強法を受け継ぎ、学習を楽に進めることができるというメリットがあります。

しかし、気をつけなければならないデメリットもあります。一般的に考えて、合格した先輩方は学力が高い人たちですよね。その先輩たちと自分のレベルが合っていないのに同じ勉強法をやったら爆死してしまいます。

また、先輩たちがやっていたことに自分のレベルが追いついていなければ、やっても意味がありません。

成功した先輩の話を聞くことは非常に重要なことですが、その先輩がどういう状況でどんな勉強をしていたのかを聞いて自分と比較し判断してから実践してみましょう!

今回の学習方略の原則012:成功者の真似についてのお話はここで終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則011:学習が上手くいかなくなったときの「内的要因」・「外的要因」②

こんにちは。大学入試現代文・小論文AO推薦対策指導、根岸です。

今回は、前回の「学習が上手くいかなくなった時の『内的要因』」のお話の続きです。次は「外的要因」についてお話ししします。

「外的要因」とは周囲の環境や学友との関係のことを言います。

周囲の環境とは、単に机や椅子の設備など勉強できる環境が整っているのかという問題でもありますが、自分の周りにはどんな人がいるのか? 一緒にいる友達がどんな人なのか? というような周囲にいる人々との関係の問題でもあります。

例えば、「勉強だりぃ」と口にする友達と、勉強に前向きで努力を惜しまない友達とではどちらと一緒にいたほうが自分にとっていいですか? それは後者であることは明らかでしょう。一緒にいる友達からの影響は非常に大きなものです。

また、質問ができる環境がきちんと整っているのか(先生やチューターさんに質問しやすいかどうか)ということも重要です。

講師室に入りづらくて分からない問題をそのままにしてしまう傾向のある生徒の場合は、自分から積極的に質問しに行く勇気を持ちましょう。私たちはいつでもウェルカムなのですよ。生徒さんからの質問を待っています🖤

特に、予備校にいる時間が長い高卒生は「外的要因」の方を重視すべきです。

このような「外的要因」は自分で努力すれば改善することが可能です。勇気をもって変えていきましょう。

勉強が上手くいかなくなったときは、「内的要因」だけでなく「外的要因」の改善も試みてくださいね。

今回の勉強が上手くいかなくなったときの「外的要因」のお話はここで終わります。次回をお楽しみに!

学習方略の原則011:学習が上手くいかない時の「内的要因」・「外的要因」について①

こんにちは。大学受験現代文・小論文・AO推薦入試対策指導、根岸です。

日々の学習がうまく進まないとお嘆きの受験生に、その原因分析の視点を教えてあげましょう!

学習が上手くいかない時には、「内的要因」と「外的要因」を考えることが重要です!

まず、「内的要因」についてお話します。「内的要因」とは、自身の行動や意欲の面のことです。

誰もが勉強のやる気がない日などはあると思います。学習が上手くいかない時には勉強に対する自身の学習行動を見直すことが非常に大切になります。

学習が上手くいってないときは自身の学習行動が上手くいっていないことが多いのです。

例えば、勉強をするときの姿勢、座り方などの自分の体のあり方などです。

椅子を机に近づけ、深く腰掛けるだけで背筋が自然に伸びます。それだけでもかなり勉強の効率が変わってきます!

また勉強のやり方の中で、自分では良いと思っているけれども、学習効果がないものがあります。

典型的な3つの例があります。1つ目はラインマーカーで重要な部分に線を引くことです。

あなたはラインマーカーを引いただけで覚えられますか? そんなの無理ですよね。それは時間の無駄。ラインマーカーを引いている時間があったら書いて覚えたほうがましです。

2つ目はまとめノート作りです。

授業で扱うテキストやプリントを見たほうがよい(プロがまとめたのだから高品質に決まっています!)し、時間ばかりかかってしまいます。本当に時間がもったいないです。

3つ目は、周りがやっているからといって流されて自分のレベルに合ってない参考書に取り組むことです(たとえば英語の場合、基礎学習者が文法4択の参考書を解くなど)。これはこれまでも散々お話ししてきた通りです。

また、ここに挙げたような自分の勉強方法に対するアドバイスをもらったときに自分の勉強方法に固執せず、それを変えることができるかどうかも非常に重要になります!

ぜひ、学習が上手くいっていないときには、「内的要因」を意識して考えてみましょう。

「内的要因」のお話はここまでです。次回は「外的要因」についてお話しします。お楽しみに!